モアイの誘い
ムーチャスエルテのジフ ムーチャ・スエルテはスペイン語で『がんばって』という意味です!!

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ECUADOR
第 3 話
カジノ・ヒルトンコロンをやっつけろ!!
大決戦ブラックジャックの巻・中編
1999年12月
スークレの食堂
MAKOTO
Makotoさんは物事は必ずパーセンテージで考えると いいと教えてくれました。たかが1%の差でも積み重なると その差は大きいとよくいっていました。
Makotoさんは食事を作るセンスが抜群で Makotoさんの作る料理はスークレの滞在の旅行者がみな楽しみにしていました。
僕は例の如く首を左に斜に構え、甘えるように 英:『 お願いします 』 Makotoさんに低い声で言った。 Makotoさんは関西人でないのに 関西弁のような語尾で話しを切り出した。 マ:『 あの山なんや。 』 注:最低金額を賭けなくてもよいことになると、   円錐形の透明なガラスでできた   置物が自分の席におかれる。 マ:『 あの山をいつも持ってくればいいんや 』 いつからかはしらないが、そのお金を引き出す打ち出の小槌は キトの代表的な観光地、パネシージョの丘にちなんで パネシージョとよばれるようになった。 英:『 けど、Makotoさん。     あの山を自分のところにもってくると確かに強いですけど     それを確実にもってくることはできないと思いますよ。 』 マ:『 まあ、とにかく必勝法としては、     あの山をゲームの始まった早い段階でもってきて、     サービスゲームをできるだけ長く続ける。     ということになるんや。 』      マ:『 今ヒルトンにわけのわからん親父たちが     わけのわからんカードのひき方してるのに     なぜか毎日来ている。彼らが毎日来れるのは     あのパネシージョの効果なんや。     もしもパネシージョがなかったら、     あんなひき方してるやつらは頻繁にこれないはずなんや      だからパネシージョを味方につけたら、     とんでもないことになるんや。     ちなみにあいつらは、     それなりになっとんのを自分の実力と勘違いしとる。 』 まことさんのいっていることは的を得ている。 しかし、テーブルに座っている人数は7人。 その中で自分のところに山を確実にもってくるのは 不可能のように感じた。 Makotoさんに丁寧に質問してみた。 『 Makotoさ〜ん。その山をどのように早い段階でもってくるんですか?  あんなに人数がいるのに 』 『 ああ、暇な時を見つけてその時だけゲームするんよ。   要するに俺と坂もっちゃんだけでテーブルにつくようにするんだ。   テーブルが空いていたら新しくそこでゲームをさせてもらうんや。 』    Makotoさんは話しをすすめる。 スークレの窓からサンフランシスコ教会が見える。 教会の正面で賭け事の話しをしているなんて罰当たりなことだ。 マ:『 二人で座ったら賭けれるところ全部に賭ける。     まあ一人が3,4つの場所に賭けんや 』 マ:『 そうすることでディーラー側でなく、     自分たちの場所にサービスカードを引きこむ     可能性をあげれるやん。     それで、もしも坂もっちゃんか自分のどちらかが     ひいたら、引かなかったほうはゲームを休む。     もちろんひいたほうはゲームを     長く続けられように一つの場所だけで勝負するんや。 』      Makotoさんの話す方法は筋が通っている。 まさに必勝法はその通りであると思った。 僕はやや倫理観にかられ、まことさんにこう聞き返した。 英:『 その方法はやりすぎじゃないですか。     退場させられるとかないですか。』 マ:『 坂もっちゃん。賭け事はお金がかかっているんだよ。     そんなことはいってられないよ。     あっちが決めたルールだからとことんまでプレーヤーは     利用するべきなんや。     賭け事は勝つ可能性はある。     しかし負ける可能性はそれ以上に高い     しょせんカジノが決めたルールで     やっとるから勝てんようにできとる。     カジノ側がやっている今回のルールは     カジノ側がきめたことやん。     そのルールを利用することは全く当たり前でしょ。     もしもあっちがうまくいかなくなったら、     そのルールがなくなるだけだよ。』      英:『 そうですね。 』 たしかに、Makotoさんのいっていることは正しい。 僕はまだこのときあまりお金について意識していなかったから、 この必勝法についても実はあまり関心がなかった。 ただ勝つのも悪くはないなっていう気持ちもあった。 マ:『 それじゃ、坂もっちゃん。今日もヒルトンいくんでしょ。     じゃ、そこで会おうよ。もう帰るよ。ほんじゃね。 』      英:『 はい。それでは、ヒルトンで 』 Makotoさんはスークレの近くのホテルエルナンに住んでいた。 ホテルエルナンはたった一泊300円でホットシャワーはでるし、 テレビはあるし、中二階はあるという、 この値段では考えられないほどの部屋があった。 為替のマジックというのは恐ろしいものだ。 同じアルバイトでも日本なら時給700円はもらえるかもしれない。 ここエクアドルでは同じように働いて時給30円。 発展途上国にいって思うことは、自分の先輩たち、 そして親たちが一生懸命がんばってきてくれたので、 日本の円が強くこのような 暮らしや旅ができるのだなということだ。 感謝しなければあらないなとつくづく思う。 ただ残念に思うのは 日本の社会はシステムの力が強いということだ。 人間の感情は無視されて、 誰が見ても分かる数字が猛威をふるっている。 人間が作り出したシステムだが、 今は人間がそのシステムに利用されているかのようだ。 日本社会では人は生きていない。 生かされているのではないかと思うことがある。 日本人の顔は死んでいるのだ。 金と幸せの問題についてはよく考える。 発展途上国の人間は相対的に見ると金銭の入りは少ない。 しかし、彼らの顔は生きているのだ。 カジノはエクアドルの新市街のヒルトンコロンの地下にある。 1日40円のホテルスークレから、 1日10000円以上するホテルに同じ人間が いくというのも変なものだ。 黒の燕尾服に身を包んだホテルマンが玄関で背筋を伸ばして たっているので、ホテルに入るときにはいつもやや気後れした。 純日本人体系といわれる短い足に、 裾が破れたジーンズを履き、武田鉄也を彷彿させる 油をつけたような長髪の男が ヒルトンコロンに入っていくのだからホテルマンも不思議に感じるだろう。 店内にはブラックジャック用のテーブルが4台。 バカラやカリビアンポーカーのテーブルが各2台。 そしてルーレットの大きな台が一つ。 店内の半分はポーカーとスロットマシーンの機械で埋め尽くされていた。 今日もテーブルには4,5人座っていて 僕らの作戦はすぐに実行することは出来なかった。 英:『 Makotoさん。今日も混んでますね。 』 マ:『 まあ、1番安いテーブルでも座って遊んでようか。     チャンスが来るまで待つというのも     賭け事の大事な要素だからね。 』 英:『 そうですね。 』 金銭的には減りもせず。増えもせず午前0時を回った。 明らかに人が少なくなった。 マ:『 坂もっちゃん。そろそろやろうか。 』 自分たちの台は6人いたが、 反対側の台には旅行者と思われる 一人の中年白人男性しかいなくなっていた。 マ:『 坂もっちゃん。まず入って待ってて。     あの白人はもう負けていなくなるか     そうしたら俺もすぐ入るよ。 』      Makotoさんのいうように僕は反対側の席に入った。 白人の男性はおでこに手をやるのと、頭を左右にふるのが 癖になっていた。 こういう動作が似合う人と一緒のテーブルにつくのは 概して危険である。 ブラックジャックは基本的にはディーラーが勝つか、 プレーヤーが勝つかのゲームであるから、 プレーヤーはいっせいに負けることが多い。 彼のように負けるのが似合う人が視界にいると、 自分まで悲しい気分にさせられるのだ。 遊びにきて悲しい気分になってもしょうがない。 白人男性は私たちが思ったとおり数分していなくなった。 私はディーラーと一対一の戦いになった。 こういった種の賭け事は長期に考えたらプレーヤーが負けるようになっている。 ブラックジャックの場合なら、プレーヤーがまず手を決めなくてはならず、 プレーヤーが22以上になったら プレーヤーの負けが決定してしまうのだ。 このようにディーラーが不戦勝できるところが勝負のからくりである。 プレーヤーの有利な面といえば、自分に10や11の強い数字が入ったとき、 掛け金を二倍にしたり、相手が6,5といった弱い数字を引いていて、 自分が8,8などの同じ数字を引いているときに 分けて戦うことができるところであろうか。 一対一対は時間の流れが早いため、資金のアップダウンが激しい。 ブラックジャックでは勝ち始めると10戦連勝。 負け始めると10戦連敗というのはちょくちょくある。 まことさんが組もうといった理由には もしもサービスカードがでなかったり、 ディーラーに引かれてしまったときに、 一人で勝負するリスクを回避することに他ならない。 一人で戦うことになるとそれだけ プレー回数をこなさなくてはならないので 自分のプレー資金を 完全になくしてしまう可能性が上がるからだ。 二人なら、一人でやるより プレー回数を軽減できるというメリットがある。 『 坂もっちゃん。調子どう。 』 Makotoさんが隣の席に座った。 もうこの回のゲームも終わるというときだった。 『 今回パネシージョは出なかったよね。 』 Makotoさんが唐突にきいてきた。 ゲームをやりながら僕らは話しを続けた。 僕らが日本語で話しをできるのは外国において相当のプラスである。 周りには何を話しているか全くしられることはない。 『 坂もっちゃん。次のトランプのカットは俺がやるから。 』 ★トランプカット=ディーラーがシャッフルした後、プレーヤーの中の代表のものが シャッフルした後のカードの中の何処かに、カードをいれる。 入れたカードの下からカードは配られることになる。 この回のゲームが終わり。ディーラーがカードをシャッフルしている。 テーブルの上にカードが50枚程度の束になって6つに分けられておかれている。 するとMakotoさんが真剣な面持ちで僕に語りかける。 『 今、一番左の束の中に入っとるんやなあ。 』 Makotoさんはジュースを配っているお姉ちゃんをみたり、 客の若い女性をみたりして 忙しく左に右に顔を動かしていたが、 それはトランプのシャッフルには全く興味が ないと他人に思わせるためのもので 実はMakotoさんの関心はトランプにあったのだ。 知らない人がみたら女ばかりに気を取られている 単なるエロだが、Makotoさんの この行動はプロを思わせた。 ディーラーのシャッフルが終わり、 ディーラーがMakotoさんにカット用の青いカードを渡す。 Makotoさんは躊躇なく トランプの下の部分にカードを差し込んだ。 そして僕にこう指示をだした。 マ:『 坂もっちゃん。サービスカードははじめに絶対でるから、     最初から3つくらい広く賭けてね。 』 Makotoさんの冷静な低い声は自信にあふれていた。 次回予告:ギャンブルにのめりこむ二人の運命は?      果たして二人はブラックジャックで勝てるのか?      はたや、旅行資金を減らすのか? 次回お楽しみに!!
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